ガラスやサファイヤなどの透明材料の内部に高NAでレーザ光を集光させる際に生じる球面収差を補正します。
集光深さに対して補正量を変えることができ、様々な厚みの材料加工や光メモリなどにも利用されます。
透明材料に高NAで集光すると収差が発生するの?
高NAで集光するということは、光線ごとに透明材料に照射される角度が変わるということです。角度が変われば屈折角が変わりますので、それぞれの光線が異なる位置に収束されます。これにより内部に結んだスポットが大きくなってしまいます。
スポット径が大きくなってしまって加工ができなくなるってことね。
そうです。例えば以下の図は石英の内部(表面から400umの位置)にNA0.4、0.55
、0.8で集光した場合のスポットの大きさをシミュレーションしたものです。
NA0.4では回折限界の2.1umまで集光できていますが、NA0.8になるとスポット径が14.8umになっています。
これでは加工ができませんね
球面収差補正高NAレンズがあればこの影響をなくせるってわけね!
でもこれって顕微鏡用の対物レンズとかにもそういった機能あるんじゃなかったっけ?
顕微鏡用のレンズにも同じような機能があるものがあります。
ただ、顕微鏡用のレンズは顕微鏡用途に光学設計されており、本製品とは違います。
顕微鏡用のレンズはレンズのほとんどの領域が光学部品で埋め尽くされています。極短パルスレーザでの加工時に、何らかの反射があった場合、それが内部の光学素子にダメージを与えるリスクが高いです。
この手のレンズって安くないからダメージは怖いよね。
あっ、顕微鏡用のレンズって保護ガラスが付いていないからさらに心配だね。
保護ガラスがあることも本製品の魅力の一つです。
決して安価なレンズではありませんので、大切に使ってほしいという開発者の思いが詰まっていますね。
aplanoXX_NA0.8_D20 | aplanoXX_NA0.5_D9 | |
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NA |
0.8 |
0.5 |
クリアアパーチャ |
20mm |
9mm |
焦点距離 |
12.5mm |
8.5mm |
ワーキングディスタンス |
1.6mm(保護ガラスあり) 2.5mm(保護ガラスなし) |
4.4mm(保護ガラスあり) 5.5mm(保護ガラスなし) |
合成石英内部の集光レンジ |
0~4mm |
0~1mm |
波長 |
1020~1100nm, 770~900nm, 510~545nm |
|
許容チルト |
±0.3° |
±1° |
最大パルスエネルギー |
100mJ @ 5ns 300uJ @ 1ps |
25mJ @ 5ns 100uJ @ 1ps |
マウント |
Cマウント(1"-32 UN 2A)外ネジ |
|
直径 |
44mm |
32mm |
長さ |
54mm |
36mm |
保護ガラス |
取付可能 |
取付可能 |