独国PRIMES社のフォーカスモニターはレーザ溶接、切断、表面改質などの加工に使用する高出力レーザ用の計測器です。集光点のビームプロファイルだけではなく、集光過程、デフォーカス過程におけるビームプロファイル計測を行うことが可能で、M2の測定も可能です。
ピンホール型のビームプロファイラで高出力レーザ(例えばCO2レーザでは最大50kw)の計測が可能です。また測定チップを変えることで様々なレーザ(可視光、近赤外、CO2)に対応します。
すべての種類のフォーカスモニタには高速に回転する測定チップが搭載されています。(左図)
測定チップが回転しながら(回転の方向をX軸とします)、Y軸方向に移動することにより、測定チップが集光ビームを横切っていきます。
測定チップにはΦ20-30um程度の小さな穴が空いており、ビームを横切ったときに、この穴から集光ビームの一部をサンプリングしていきます。
サンプリングされた光はチップ内を伝搬し、ディテクタにて受光されます。これによりビームの各点における強度情報を取得し、それをマッピングすることでビームプロファイルを得ます。
この測定チップを搭載したY軸ステージはZ軸ステージに搭載されており、各プレーンを計測した後、光軸方向に移動⇒測定を繰り返します。
これによりコースティック計測を行い、レーザの主要パラメータであるM2や集光角のような情報を取得します。
ビームプロファイラってフォーカスモニタのようなピンホール型のほかにカメラ型ってのがあるみたいだけど、それぞれのメリットって何?
カメラ型のメリットは一度にビーム全体を観察することができることです。
他方、ピンホール型のメリットは、減衰なしで大きなパワー密度のレーザ光の計測ができることです。
減衰って意外と面倒だし、正しいプロファイル計測ができているかわからないから、高出力レーザの計測の場合はピンホールがよさそうね。
FM+ | FM+HPD | |
---|---|---|
パワーレンジ |
30-25,000W |
100-25,000W |
波長帯域 |
0.4-1.6um?または 9-12um |
1.0-1.1um |
ビーム径(典型値) |
100-3000um(オプションで最大5000um) |
100-1200um |
最大パワー密度 |
CO2(10.6um): 30MW/cm2 Nd:YAG(1000-1100nm): 10MW/cm2 |
50MW/cm2 |
集光位置 x,y,z | ◯ |
---|---|
集光半径 x,y,z | ◯ |
M2 | ◯ |
測定レイリー長(典型値) | 28mm |
ビーム強度分布 | 2D, 3D |
1プレーンあたりの測定時間 | 5 - 40秒 |
ラインスキャン | オプション |
ワーキングレンジ x - y | 8x8mm (オプションで12x12mm, 24x12mm) |
※HPDは一回のスキャンで1.2x1.2mmの範囲を計測 | |
ワーキングレンジ z | 120mm |
測定ウインドウサイズ | 0.1 x 0.1 - 8 x 8 mm (分解能64px) |
分解能 | 32 x 32 px - 1024 x 102 px |
回転速度 | 1875/3750/7500min^-1 |
電源 | 24VDC ±5%, 最大3.5A |
保護ガス(水と油を含まず) | ヘリウム/窒素/アルゴン |
最大圧力 | 代表値0.5 bar(オプション) |
インターフェース | Ethernet, RS485 |
トリガディレイポート | オプション |
寸法(長さ x 幅 x 高さ) | 280 x 242 x 218mm |
重量 | 約8.5kg |
PRIMES社のFM+はLaser Diagnostic Software(LDS)というソフトウェアで大量の測定データを管理します。
ユーザガイダンスによりビーム測定を快適に行えます。ユーザインターフェースはレイアウトを自由に変更できます。パワー測定及びビーム伝搬の分析に使いやすいユーザガイガンスが組み込まれているので、ボタンをクリックするだけで、自動測定が可能です。フォーカスモニタだけでなく、PRIMES社のパワーメータのような複数の測定器をLDSに接続し、同時に操作することも可能です。測定結果はpdfファイルにより出力可能です。
測定したパワー密度分布を基に、ビーム位置(重心)、ビーム軸に沿って異なる位置のビーム径をグラフ表示することができます。また、これらの値より、レイリー長、ビーム半径、ビーム位置、ビーム品質M2、拡がり角、偏角、BPPのような重要なビームパラメータを算出します。ビーム半径測定は、DIN EN11146に明記されている2ndモーメント又は86%パワーから選択することができます。
LDSは様々なパラメータから、実行した測定に信頼性があるかどうかを判断します。これにより人為的なミスを防ぐことができ、安定した測定を行うことができます。
フォーカスモニタHPDは50MW/cm2の高パワー密度レーザの集光ビームをダイレクトに計測する測定器ですが、一度に計測できる範囲が1.2x1.2mmと従来のフォーカスモニタと比較して狭くなっています。
高パワー密度ビームの計測と広いエリアでの計測(例えばマルチビームなど)を一台で行いたい方にはこのオプションが便利です。
減衰器を使用しますと、元のビームから約4%だけを計測に取り出すことができます。測定には全て反射系を利用しておりますので、ビームが劣化することなく計測を行うことができます。
ビームダンパがついており、カットする光を終端します。
項目 | 仕様 |
---|---|
波長 | 近赤外 |
減衰率 | 約96% |
冷却 | 水冷(1リットル/分/kW) |
ガラスチップはHPDモデルにのみ搭載可能です、FM+、FM120への取り付けはできません。
FM+にはDFY-PS+、DFIG-PS+、DFCM+の3種類のディテクタがございます。ファイバーレーザの計測であればDFIG-PS+が最適です。このディテクタは可視域から近赤外までカバーしています。ブルーレーザの計測を行う場合はDFY-PS+をお勧めします。DFY-PS+はDFIG-PS+よりも可視域での感度が高いのが特徴です。DFINGは主に2umのレーザを計測するときに使用します。
FM+にはHighDiv.YAG、、HP-CO2、DL-Diodeの3種類のチップがございます。HighDiv.YAGはファイバレーザの計測に、HP-CO2はCO2レーザの計測に、DL-Diodeはダイオードレーザの計測に使用します。
可能です。
残念ながら確認できません。
レーザを上から照射した場合、フォーカスモニタの底面から測定面下限までの距離は15.7mmです。チップを反転して下から入れた場合は、底面(元々の上面)から12.7mmが測定面の下限となります。
測定するレーザのパワー密度により最適なスピードを選定してください。パワー密度に対して回転スピードが遅いとチップの溶損に繋がりますのでご注意ください