ビームシェイパー完全セレクションガイド

ビームシェイパー完全セレクションガイド

屈折型ビームシェーパー
DoE
ホモジナイザ
リングモードジェネレータ
マルチスポット光学系
マルチフォーカス光学系




このページでわかること

レーザーを光軸に垂直な断面で見たとき、その強度分布には様々なものがあります。この強度分布をビームプロファイルと呼びますが、ビームプロファイルはアプリケーションに大きな影響を及ぼします。
ビームシェーパーとは、このビームプロファイルを最適化するためのツールです。
このページを読むと、ビームシェーパーとは何か?なぜビームシェーピングが必要か?ビームシェーパーにはどのようなものがあるのか?を理解することができます。


 

ビームシェーパーって最近よく聞くけどあまり良くわかってないんだよね

 

ビームシェーパーはレーザの強度分布を変えるコンポーネントです。

このページでは、ビームシェーパーを使用することにどのようなメリットがあるか、どのような種類のビームシェーパーがあり、それぞれどのようなメリットがあるのかということなど、詳しく解説していますよ。

 

なんか難しそうだから理解できるか不安だわ

 

プロフィテットでは様々なタイプのビームシェーパーを取り扱っています。長年の経験からたくさんのアドバイスができると思いますので、是非お問い合わせくださいね。

また、ホワイトペーパーも作っていますので、ご興味がある場合は以下ボタンからご依頼くださいね。



ビームシェーパーとは

昨今の市場においては様々なレーザ加工機が流通しています。レーザ加工機を選定する際には、アプリケーションに合わせて以下のパラメータから自由な選択が可能です。


 

CW?パルス?

出力はどうしよう?

波長は?

パルス幅は?

スポット径は?

繰り返し周波数は?

・・・・・


こういったパラメータに加え、昨今ではビーム強度分布(ガウシアン、トップハット、逆ガウス、ドーナッツ、マルチフォーカス)、ビーム形状(円形、矩形、ライン、楕円、長方形)についてもより自由度をもって選択ができるようになってきています。

 

えー、パラメータが増えて複雑になるね。

なんでわざわざ強度分布を変える必要があるの?

 

ビームシェーピングをすることでレーザ加工条件として考えなければならないことが増えるので複雑になりますが、使用することで色々なメリットが出てきます。

以下にビームシェーピングを使うメリットを説明しますね。


なぜビームシェーピングが必要か?

熱影響域(HAZ)の低減による加工品質の向上

CIGS除去加工結果
左図はピコ秒レーザを使ったCIGS除去加工の結果を表したものです。図の左側がガウシアンビームで行ったもの、右側がトップハットビームで加工を行ったものです。
ガウシアンビームで加工を行ったものは熱影響域(HAZ)が見られ、ビーム強度の強い中心部では基板であるモリブデンにもダメージが入っています。一方トップハットビームで加工を行ったものはHAZがなく、全領域が均一に除去されています。このようにトップハットビームにすることで、HAZを減らし、均一な加工を行うことが可能となります。


エネルギーの高効率化

ガウシアンビーム加工のエネルギー領域
ガウシアンビームで加工を行う場合、例えば、加工に必要な強度をIhとすると、その加工に必要なエネルギーの領域は図の左に示した灰色のエリア(E3)となります。逆にそれ以外のエリアは無駄なエリアとなり、E1は過剰エネルギー(このエリアが上記CIGSのモリブデン基板ダメージの要因となります)、E2は加工に至らないレベルとなります。(このレベルが上記CIGSのHAZの原因となります)
図の右側はE1、E2、E3、E1+E2について、その関係を示したものです。E1+E2が最も小さくなり、E3が最も大きくなるのが理想ですが、ガウシアンビームの場合、ベストケースでもE1+E2が全体の63%となります。この加工では全エネルギーの63%を無駄にしていることになります。
ビームシェーピングを行うことで、エネルギーを有効活用することができます。


スパッターの低減

レーザによる金属溶接において、材料に高いパワー密度のレーザーが照射されると、金属は溶融し、パワー密度の高い箇所ではキーホールと呼ばれる空洞ができます。キーホールからは金属蒸気が吹き上がり、溶融金属の内壁はその蒸気によって跳ね上げられます。これがスパッターの原因の一つです。溶融金属が不均一な温度などにより不規則な対流を起こすと、キーホールも不安定となります。これによりスパッターはさらに増えてしまいます。
ビームシェーピングを適切に行うことで、キーホールや溶融池を安定化させスパッターの少ないレーザー溶接が可能となります。


均一な熱加工

レーザの種類別強度分布
図の上はレーザの強度分布を示しています。赤がTEM00、紫がトップハット、青がドーナッツです。下はそれぞれのレーザがワークに照射された時の熱分布を示しています。
例えば、TEM00のビームがワークに照射された時、照射されたエリアの熱分布はガウス形状となります。一方、トップハットのビームが照射されると、ドーム型の熱分布を持ちます。これはビーム中心よりも端のほうが熱伝導の影響で低温になるためです。
レーザ溶接やレーザ焼入れなどの熱加工を行う場合、ワーク上で均一な熱分布になることが望ましいとされています。
均一な熱分布を持つためにはドーナッツ型のビームプロファイルが必要で、ビームシェーパーはこのようなプロファイル生成にも非常に役立ちます。


切断品質の向上

ファイバレーザの厚板切断
ファイバレーザの出現により、レーザ切断は飛躍的に進化を遂げ、これまで使われてきたCO2レーザはファイバーレーザに置き換わってきています。ファイバーレーザを使うことで非常に高速な金属切断が可能となり生産性が格段に向上しました。


しかしながら、ファイバーレーザはそのビーム強度分布から、薄板の切断は得意としますが、アシストガスに酸素を使う厚板の切断は苦手であるという側面を持ちます。レーザの強度が均一でないため、酸素を使った場合、出力を上げられないという問題が出てくるからです。
ビームシェーパーによりドーナッツ形状を生成することで、ファイバーレーザを使って厚板の切断を高品質に行うことが可能となります。


 

ビームシェーパーを使うといろんないい事があるんだね。

 

はい。ビームシェーパーは従来のレーザ加工の可能性を更に広げるための便利なツールです!

 

でもビームシェーパーっていろんな種類があるんでしょ?

何を選べばよいかとかよくわかんないんだけど。

 

それでは以下にビームシェーパーの種類をご説明しますね。

もちろん良くわからない方はプロフィテットの営業マンにご相談してくださいね。

経験豊富な営業マンが回答します。


ビームシェーパーにはどのような種類があるか

ビームシェーパーには様々なタイプがあります。DoE(回折格子=Diffractive Optical Element)、ホモジナイザ、フィールドマッピングなどがあります。それぞれのビームシェーピング技術について解説します。


DoE(回折光学素子=Diffractive Optical Element)

DoEは石英やZnSeなどの光学基板表面に波長オーダーの凹凸を形成することで意図的に回折現象を起こしビームシェーピングを行う光学素子です。デザイン次第ではあらゆるビームプロファイルを生成することが可能となります。一方で、デザインが複雑な上、製造時に露光マスクが必要となるため、初期費用が高いというデメリットがあります。また単一波面に対しての設計となるため、マルチモードレーザにおいては十分なパフォーマンスが期待できないという面があります。
当社では、マスクレス製造を可能とした高出力レーザ用DoEを販売しています。


ホモジナイザ(レンズアレイ)

ホモジナイザは入射するビームを小さなビームに分割し、レンズのバックフォーカスの位置でトップハットビームを形成する光学系です。入射ビームのプロファイルに依存しないトップハットビームを作ることが可能ですが、一方で、スポットビーム径が大きくなってしまう、シングルモードではスペックルが出るため使用ができないなどのデメリットがあります。マルチモードのビームを長方形のトップハットに成形するなど、レーザ焼入れのようなアプリケーションには最適です。
一般的なホモジナイザはトップハットを生成しますが、当社ではフリーフォームのレンズアレイにより、複雑なビームプロファイルを生成するホモジナイザを取り扱っています。


フィールドマッパー(RoE = Refractive Optical Element)

入射するレーザ強度分布を変換するビームシェーパーです。Airy Diskを生成する集光型ビームシェーパーと、トップハットを出力する結像型ビームシェーパーがあります。フィールドマッピングタイプのビームシェーパーは透過率が高く、高出力レーザでの使用が可能で、トップハット以外にもドーナッツや逆ガウスなど多様に対応できるという特徴があります。
当社では集光型、結像型のビームシェーパーを取り揃えております。


偏光制御型ビームシェーパー

入射ビームを偏光で分岐し、レーザ加工面上、あるいはレーザと同軸方向に、複数のスポットを形成することで空間的な強度分布を制御する光学部品です。
空間コヒーレンスの低いマルチモードのレーザはDoEやフィールドマッパーでは制御ができません。またホモジナイザでは小さなスポットを得ることができず、レーザ溶接に適したビームを得ることはできません。偏光制御型ビームシェーパーはマルチモードのレーザを比較的小さなビームに変換することができる新しいビームシェーパーです。
当社では、ビームシェーピングするだけでなく、それを可変できる最先端の偏光制御型ビームシェーパー(リングモードジェネレータマルチスポットマルチフォーカス)を取り揃えております。


 

当社取扱のビームシェーパー

高効率なトップハットやリングビームの生成に最適

複雑なビームパターンを生成するのに高い効果を発揮

マルチモードのビームを高効率にビームシェーピング

ビームを分岐し複雑な強度分布を生成、強度比率変更により複数のプロファイルを1台で

シングルコアのファイバレーザをリングモードビームに変換

ビームを光軸方向に分岐、焦点深度を拡張


ビームシェーパーの選定と光学系のご提案について

当社では様々なビームシェーパーを取り扱っています。各ビームシェーピング技術には一長一短があり、オールマイティとはいきません。そのため弊社では、お客様がご使用されているレーザ発振器、光学系、最終的にご必要なビームプロファイルとそのサイズをお聞きしたうえで、最適なビームシェーパーをご提案させていただいております。まずはご相談ください。
また、ビームシェーパー前後の光学系のご提案や、アライメント用のツール、ビームプロファイル計測器のご提案も同時にしております。
トータル的にサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。



よくある質問

ビームシェーパー=DoEですか?

DoE(回折光学素子)はビームシェーパーにカテゴリされる光学部品のひとつです。

ビームシェーパーにはDoEの他にRoE(屈折光学素子)、変更型ビームシェーパー、ホモジナイザなどがあります。

DoEが一番メジャーだからこれを使っておけば間違いなし?

残念ながらDoEも万能ではありません。ご使用されているレーザーによりどのビームシェーパーが最適かが決まってまいりますので、ぜひご相談ください。

ビームシェーパーってアライメントが難しそうで・・・

おっしゃるとおり、ビームシェーパーの中には、アライメントが非常に重要なものもあります。当社ではビームシェーパーを販売するだけでなく、そのアライメントのお手伝いもしていますので、お気軽にご相談ください。

ビームシェーパーは光学システムのどこに組み込めばいいですか?

基本的にはコリメートビームを入射できるところが理想です。